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押さえておきたい法務知識 Vol.12 / 「 上場 」はゴールではない。IPOを決断する経営者の心構えと法務のリアル

IPOを目指すと決断した経営者が、いざ準備を始めるにあたって最初に意識すべきことは何でしょうか?

一番大きな変化は、「 自分の私的な会社(プライベートカンパニー)」から「 公の会社(パブリックカンパニー)」への意識の転換です。

これまでトップダウンでスピーディに意思決定し、売上を伸ばすことで会社を牽引してきた経営者ほど、IPO準備に入ると「 コンプライアンス 」や「 規程の整備 」といった内部統制を「成長のブレーキ」のように感じてしまうことがあります。

しかし、上場するということは、不特定多数の株主から資金を集めるということです。ガバナンスやコンプライアンスはブレーキではなく、企業価値を守り、さらに大きなステージで戦うための「 頑丈なエンジンとブレーキを積み直す作業 」だと認識をアップデートしていただく必要があります。

IPO準備がスムーズに進む企業と、途中でつまずいてしまう企業。法務的な観点から見て、違いはどこにありますか?

「 経営トップのコミットメント 」の差が如実に表れます。IPO準備をCFOや管理部長、あるいは外部のコンサルタントに「 丸投げ 」してしまうと、社内の協力が得られず、規程を作っても現場が運用してくれないという事態に陥ります。

つまずく企業は、「 形だけ 」のルールを作りがちです。

せっかく作ったルール等が実運用に沿わず、IPO準備が事業の妨げとなることもあります。場合によっては、トップ自身がルールを軽視しています。

逆に、スムーズに進む企業は、トップ自らが「 なぜ今、このルールを社内に適用するのか 」を社員に語ることができ、実効性のある体制づくりをリードしています。

証券会社やIPOコンサルタントなど、様々な専門家が関わる中で、弁護士にはどの段階から相談するのが良いのでしょうか?

まず前提として、IPOの世界では上場申請をする年度を「 N期 」と呼びます。

そこから逆算して、1年前を「 N-1期 」、2年前を「 N-2期 」というようにスケジュールを立てていきます。

このスケジュール感で言うと、弁護士にご相談いただく理想のタイミングは「 N-3期(上場申請の3期前)」、遅くとも証券会社や監査法人によるショートレビュー(予備調査)を受ける前です。

N-3期というと、かなり早い段階ですね。なぜそれほど早いタイミングから弁護士に相談するべきなのでしょうか?

ビジネスモデルそのものの適法性や、創業期に交わした不利な契約など、「 後戻りできない根幹部分の法的リスク 」は、早めに発見すれば傷が浅くて済むからです。

いざ上場審査が近づいてから致命的な法的な問題が発覚すると、最悪の場合、上場延期に直結してしまいます。早い段階で「 事業成長を阻害しないための法的な道筋 」を一緒に作り、安全にスピードを上げていただくのが我々の役割です。

なるほど、手遅れになる前に、N-3期からの法務対応がカギになるということですね。N-3期を過ぎてしまった場合はどうでしょうか?

その場合は、なるべく早くご相談いただくことをおすすめします。

リスクの洗い出しから、「 いつまでに、どのリスクから順番に消していくべきか 」という優先順位づけ、現実的な改善のためのスケジュール設定などを伴走し、スムーズな上場を支援します。